こんにちは!VETS CHANNEL事務局です。
今回は胆嚢粘液嚢腫に関する論文をご紹介いたします。
竹内亜樹先生によるセミナー、「胆嚢切除のターニングポイント ①外科治療のタイミング」と合わせてご活用ください!
◇胆嚢切除のターニングポイント ①外科治療のタイミング
講師:竹内亜樹先生(東京農工大学)
https://e-lephant.tv/vets-ch/vetspay/1003979/

胆嚢粘液嚢腫に対して胆嚢摘出術、内科的治療、あるいはその両方による治療を受けた犬の長期生存率
《背景》
胆嚢粘液嚢腫(GBM)は通常、胆嚢摘出術で治療される。内科的治療はほとんど報告されておらず、内科的治療と外科的治療の比較はされていない。
《仮説と目的》
GBMの治療において、内科的治療と胆嚢摘出術、あるいはその両方が行われた犬の生存率を比較する。
《対象動物》
2011年から2017年に胆嚢摘出術または内科的治療、あるいはその両方を受けた、GBMと診断された飼い犬89頭。
《方法》
カルテデータベースの検索により、該当する症例を特定した。収集したデータは臨床徴候、臨床病理学的結果、治療、および超音波画像と報告書であった。犬は主治医の裁量で選択された治療(内科的治療、外科的治療、またはその両方)に従って、グループ分けされた。生存率分析を行い、予後変数を特定し、治療グループ間で比較した。
《結果》
診断後14日以上生存した犬の生存期間中央値は、外科的治療群、内科的治療群、内科的治療後外科的治療群でそれぞれ1,802日(95%信頼区間[CI]、855-到達せず)、1,340日(95%CI、444-1340)、203日(95%CI、18-525)であり、有意差が認められた(P < .0001)。GBMのタイプ(P = .05)、血清アルカリホスファターゼ活性(P = .0001)、血清クレアチニン(P = .002)およびリン(P = .04)濃度は、いずれのグループでも生存率の低下と関連していた。腹部超音波検査での胆道破裂の疑いは、手術群の生存率の上昇と相関していた(P = .02)。
《結論と臨床的重要性》
GBMの治療における胆嚢摘出術は、内科的治療と比較して、手術直後(14日間)に生存している犬において最高の長期生存率をもたらす。内科的治療は外科的治療と比較して生存期間が短くなるが、外科的治療を追求できない場合の妥当な代替手段である。
Long-term survival of dogs treated for gallbladder mucocele by cholecystectomy, medical management, or both.
Parkanzky, M., Grimes, J., Schmiedt, C., et al.
J. Vet. Intern. Med., 2019;33(5): 2057-2066.
PMID: 31490022.
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