動脈血栓塞栓症の治療

動脈血栓塞栓症(Arterial thromboembolism:ATE)を発症して一次診療施設を受診した猫のほとんどに対しては安楽死処置が実施される。このような対処の仕方は猫の福祉やATEの予後が一般的に不良であることを考慮すると正当化される。しかしながら、鎮痛処置を十分に行っており、正の予後因子(例:正常体温、1つの肢のみでATEが発生、CHFがない)が認められる場合には、ATEに対する治療の実施を考慮してもよいかもしれない。ただし、治療のリスクとATEの予後が一般的に不良であることを飼い主に十分説明するべきである。急性のATEの猫の治療における推奨項目を以下にまとめた。


退院した 3~7 日後および 1~2 週間後に再診を設けることが推奨される(推奨クラス I)。再診時の評価項目には、肢端の壊死の有無、血清電解質、食欲、投薬コンプライアンス、神経運動機能の改善の度合いが含まれる。下位運動ニューロンの機能の回復には数週間~数ヵ月を要する場合があるため、1~3ヵ月おきに再診を設けることを考慮すべきである(推奨クラス IIa)。ただし、来院に伴うストレスが猫に与える影響については留意すべきである。飼い主には安静時あるいは睡眠時の呼吸数を継続して計測させることが推奨される(推奨クラス I)。

参考文献
1. Luis Fuentes V, Abbott J, Chetboul V, et al. ACVIM consensus statement guidelines for the classification, diagnosis, and management of cardiomyopathies in cats. J Vet Intern Med. 2020;34:1062-1077.

次回は、結語について紹介する(3 月 1 日公開予定)。

これまでの連載はこちら
https://media.eduone.jp/list/106/119/


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※VETERINARY BOARD 2021 年 7 月号では、「猫の肥大型心筋症 アップデート -HCMとHCM phenotype-」(監修:中村健介先生)の特集を掲載しています。本連載をご執筆いただいている大菅先生にも症例報告をご執筆いただきました。
出版:エデュワードプレス
サイズ:A4判 96頁
発行年月日:2021年7月15日


本体価格 4,400円(税込)

大菅辰幸 TATSUYUKI OSUGA

2012年 北海道大学 獣医学部卒業
2012年 北海道大学大学院 獣医学研究科 博士課程入学
2013年 日本学術振興会 特別研究員(DC1)
2015年 北海道大学大学院 獣医学研究科 博士課程修了、博士(獣医学)
2016年 日本学術振興会 特別研究員(PD)
2016年 北海道大学大学院 獣医学研究院 客員研究員
2016年 北海道大学 人獣共通感染症リサーチセンター 学術研究員
2017年 北海道大学大学院 獣医学研究院 附属動物病院 特任助教
2020年 宮崎大学 農学部獣医学科 助教

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