繁殖に供する予定のある猫における心筋症のスクリーニングのための心臓超音波検査のプロトコール
最低でもStandard of careのレベルの心臓超音波検査を行うべきである。
左心室の拡張末期壁厚については、普遍的に受け入れられている基準範囲は存在しない。左心室の拡張末期壁厚を 1 つのカットオフ値に基づいて「正常」か「左心室に壁の肥厚がある」かに区別することは単純化しすぎている。左心室の壁厚は身体のサイズの増加とともに増加するうえ、水和状態や心拍数の影響も受ける。
身体のサイズが普通の猫のほとんどにおいては、左心室の拡張末期壁厚が 5 mm未満なら正常、6 mm以上なら左心室の壁の肥厚を示唆している。左心室の拡張末期壁厚が 5 mm以上、6 mm未満の場合には、身体のサイズ、近親の猫において心筋症が診断されたことがあるか、左心房および左心室の形態・機能の定性的(主観的)な評価、動的な左心室流出路閉塞の有無、組織ドプラ法により計測した僧帽弁輪速度(詳細は今後の回で紹介)を加味して左心室の壁の肥厚があるかを判断することが推奨される(推奨クラス I)。左心室の壁の肥厚があることを疑うがそう断言できない場合には、左心室の壁の肥厚のグレーゾーンと分類して後日再評価することが推奨される(推奨クラス I)。