左心室の内腔

左心室の拡張末期径と収縮末期径は、従来、Mモード画像(leading edge-to-leading edge法)を用いて計測されてきたが、2D画像(trailing edge-to-leading edge法)を用いても計測可能である(どちらをより推奨するかについてはステートメント上に明記されていない)。左心室の収縮能の指標として最も一般に用いられるのは、左心室の拡張末期径と収縮末期径から計算される左心室の内径短縮率である。また、限局性の左心室壁の運動性の異常があるかについても評価する(たいてい主観的)。


図:Mモード画像を用いたleading edge-to-leading edge法による左心室の拡張末期径と収縮末期径の計測
拡張末期径と収縮末期径を計測する際には心室中隔側の心内膜面(赤線)を計測に含み、左心室自由壁側の心内膜面を計測に含めない。「どのタイミングが拡張末期や収縮末期であるか」についてはステートメント上に明記されていない(本図においてはQRS群の始まりのタイミングを拡張末期、左心室の内径が主観的にみて最小となるタイミングを収縮末期としている)。



図:2D画像を用いたtrailing edge-to-leading edge法による左心室の拡張末期径の計測
左心室内腔を対称に 2 等分するようにキャリパーを設定して拡張末期径を計測する。心室中隔側の心内膜面(赤線)も左心室自由壁側の心内膜面も計測に含めない。「どのタイミングが拡張末期であるか」についてはステートメント上に明記されていない(本図においては左心室の内径が主観的にみて最大となるタイミングを拡張末期としている)。



図:2D画像を用いたtrailing edge-to-leading edge法による左心室の収縮末期径の計測
左心室内腔を対称に 2 等分するようにキャリパーを設定して収縮末期径を計測する。心室中隔側の心内膜面(白い線)も左心室自由壁側の心内膜面も計測に含めない。「どのタイミングが収縮末期であるか」についてはステートメント上に明記されていない(本図においては左心室の内径が主観的にみて最小となるタイミングを収縮末期としている)。



参考文献
1. Luis Fuentes V, Abbott J, Chetboul V, et al. ACVIM consensus statement guidelines for the classification, diagnosis, and management of cardiomyopathies in cats. J Vet Intern Med. 2020;34:1062-1077.

次回は「猫の心筋症の診断」の「心臓超音波検査」の項にある、左心房の評価法と動的な左心室流出路閉塞の評価法について紹介する( 12 月 21 日に公開予定)。

これまでの連載はこちら
https://media.eduone.jp/list/106/119/


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※VETERINARY BOARD 2021 年 7 月号では、「猫の肥大型心筋症 アップデート -HCMとHCM phenotype-」(監修:中村健介先生)の特集を掲載しています。本連載をご執筆いただいている大菅先生にも症例報告をご執筆いただきました。
出版:エデュワードプレス
サイズ:A4判 96頁
発行年月日:2021年7月15日


本体価格 4,400円(税込)

大菅辰幸 TATSUYUKI OSUGA

2012年 北海道大学 獣医学部卒業
2012年 北海道大学大学院 獣医学研究科 博士課程入学
2013年 日本学術振興会 特別研究員(DC1)
2015年 北海道大学大学院 獣医学研究科 博士課程修了、博士(獣医学)
2016年 日本学術振興会 特別研究員(PD)
2016年 北海道大学大学院 獣医学研究院 客員研究員
2016年 北海道大学 人獣共通感染症リサーチセンター 学術研究員
2017年 北海道大学大学院 獣医学研究院 附属動物病院 特任助教
2020年 宮崎大学 農学部獣医学科 助教

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