クリニックノートの連載をはじめるきっかけ

太田宗雪社長(以下太田)
−今回は東京農工大学の大森先生啓太郎先生に監修をいただきました「アルゴリズムで読み解く 獣医師のための鑑別診断プラクティス」(以下、本書)が刊行されたこともあり、大森先生に本書制作の経緯やその特長及び使い方などをお聞きしたいと思います。本日はよろしくお願いいたします。

大森先生啓太郎先生(以下大森先生)
よろしくお願いいたします。

太田
−まず、本書制作の簡単な背景ですが、元となる記事は、大森先生のご監修で月刊誌「クリニックノート」に長期に渡り連載していただきました。読者からの要望の多かった書籍化に当たり、連載時に執筆いただいた先生がたから大幅な加筆修正した原稿をいただいた上に、その先生がたとほぼ同数の先生がたから書き下ろし原稿を執筆いただいきました。そのため、連載時より倍以上に増えた原稿を大森先生に何度も監修していただき今回の刊行に至った次第です。
さて、1つ目の質問ですが、元になっている月刊誌の連載を始めるきっかけについて教えていただけますでしょうか。

大森先生
はい。現在、書籍や雑誌、あるいはWeb媒体も含めて、動物の治療に関する情報は、非常に充実していると感じています。一方で、私自身二次診療施設で診療に携わっていることもあり、新卒や臨床経験の浅い研修医の先生がたと一緒に診療する機会が多くなります。そういう先生がたにとって、「どうやって診断にまでたどり着くか」という臨床をする上で重要な問題を解決する情報が非常に少ないと感じていました。その問題への具体的な回答ができたら良いなという思いで連載を引き受けました。

太田
−先生は研修医の診断の問題に言及されましたが、連載記事の読者対象をどこに設定されていたのでしょうか。

大森先生
やはり連載当初は、クリニックノートという雑誌のコンセプト自体もありますが、臨床を始めて1〜5年目ぐらいの若手の先生を想定して原稿を創るように心がけました。

太田
−連載記事の反響は、大森先生にも直接届きましたか。

大森先生
非常に多くの好評の声をいただきました。特に、まれな主訴ではなく、臨床現場で遭遇する機会も多い主訴を選んだので、それらをどのように鑑別していくのか、実際の症例を示しながら診療の流れに沿って具体的に解説していく記事がこれまでなかったこともあり、反響は大きかったですね。