対象動物が何であれ、たとえ同じ疾患だったとしても、臨床症状や治療薬への反応は個体によってまちまちであり、教科書通りに物事が進むことの方が珍しい。麻酔・疼痛管理でもそれは例外ではなく、同じ症例が複数回の麻酔中に全く違う反応をみせることもしばしばある。

麻酔管理で必要な観察力や瞬発的な判断力を身につけるには基礎知識による土台づくりが欠かせない。このスキマシリーズはそんな基礎への入門となればと思う。


第 1 回目では、事前準備の大切さと術前から覚醒までの注意事項を簡潔に述べた。今回はモニタリング機器について触れていく。麻酔管理の中で欠かせないモニタリングだが、その意義を知らなければ、ただ表示された数値を麻酔記録用紙のうえ(または電子機器)に写すだけとなり、「モニタリング(観測)」をしていることにはならない。

一般的なモニタリング項目

モニタリングの意義を一言でいうと「生きているのか確認すること」である。体のいろいろな機能を抑制する全身麻酔が、肉眼でみえること(例えば呼吸抑制)以外にも異常をきたすことは珍しくない(例えば低血圧)。それらに気付かず放置してしまうと、場合によっては生死に関わる問題へと発展してしまう。

また、場合によっては全身麻酔から覚醒した後も問題が長引くこともある。そのような事態に気付き回避するために、モニタリングは重要な役割を担う。一般的な麻酔管理では、に記載されている 5 つの項目を注意深くみているはずである。


表 一般的なモニタリングの 5 つの項目

小田先生へ:心電図の意義部分「感知することによる」に修正いたします。
(こちらの文章は公開時に削除したします)