膠質液は晶質液(等張液や低張液のように電解質と水分のみで構成)と比べて使用頻度は少ない輸液剤になりますが、血圧が低いときなどに使用する機会が出てくると思います。これを機会に、膠質液に関する基本的な内容をしっかりと理解しましょう。

膠質液とは?

復習になりますが、等張液(細胞外液補充剤)は、投与直後は細胞外(血管内と間質)に分布します。これに対して「〇号液」などの維持液は、細胞内外を問わず一様に分布します()。今回説明する膠質液(colloid)は、血管内のみに分布し直接血管内容量を増やし、膠質浸透圧をあげることができます()。つまり、血管内容量を増加させたいときには、膠質液を使うのが最も効率的だといえます。生理食塩液や乳酸リンゲル液のような細胞外液補充剤は 1/4 程度しか血管内にとどまらない( 3/4 は間質に移行)のに対して、膠質液は 3/4 程度が血管内にとどまるとされています。

代表的な膠質液として、人工膠質液(HESやデキストラン)やアルブミン製剤があげられます。アルブミンはヒトから採取しつくれるのに対して、人工膠質液は人工的につくり出された物です。人工膠質液として獣医療でも広く使用されているのが、HES(hydroxyethyl starch:ヒドロキシエチルデンプン)製剤になります。本稿では、獣医療でも使用されることの多いHES製剤について説明します。


図1 膠質液は、血管内のみに分布し直接血管内容量を増やし、膠質浸透圧をあげることができる