2019 年に、免疫介在性溶血性貧血(immune-mediated hemolytic anemia:IMHA)の診断・治療に関するコンセンサスステートメントがアメリカ獣医内科学会(American college of veterinary internal medicine:ACVIM)より発表された。IMHAは赤血球に対し自己抗体が産生されることで発症する代表的な免疫介在性疾患であり、特に犬では溶血性貧血の原因として一般的であること、貧血以外の合併症も多く致死率が高いことから、その診断・治療の理解は重要である。

コンセンサスステートメントは、診断編と治療編の 2 部構成となっている。
・ACVIM consensus statement on the diagnosis of immune-mediated hemolytic anemia in dogs and cats.
・ACVIM consensus statement on the treatment of immune-mediated hemolytic anemia in dogs.

診断編は犬と猫に関する記述であるが、治療編は犬のIMHAに限定されている。猫のIMHAの発生率は犬に比べ低く治療に関する情報が少ないこと、また病気の特徴も異なることから、犬の治療編の内容を単純に猫に外挿することはできない点には注意が必要である。

連載第 6 回目は、免疫抑制剤の併用について解説する。

免疫抑制剤の併用

犬のIMHAの治療としてステロイドに免疫抑制剤を追加する場合、次の薬剤のうち 1つを推奨する。

1. アザチオプリン:2 mg/kgまたは 50 mg/m2 PO SID。2~3 週間後に投与間隔を 2 日に 1 回(EOD)に延長する。
2. シクロスポリン:5 mg/kg PO BID。投与量は薬剤血中濃度に基づき調整を検討。
3. ミコフェノール酸モフェチル:8~12 mg/kg PO BID
前述した 3 剤の利用ができない場合、あるいは副作用のため使用できない場合、後述する薬剤の使用を検討する。ただし、その使用根拠は前述の 3 剤に比べて乏しい。
4. レフルノミド:2 mg/kg PO SID。投与量は薬剤血中濃度に基づき調整を検討。

推奨レベル:弱い

根拠:ステロイド以外の免疫抑制剤を併用することについて、その有効性は確立されていない。これまでの研究のほとんどが回顧的研究であることから、case selectionバイアス(例:重篤な患者は免疫抑制剤を併用する傾向にある)が強いと考えられる。併用する 2 nd lineの免疫抑制剤に関しては、どの薬剤が優れているかを評価する前向き研究が不足している。