日常的に使用している輸液製剤ですが、今回はそれぞれの特徴を理解しながら、その使い方を確認していきましょう。

各輸液製剤の特徴

復習になりますが、浸透圧(ここでは晶質浸透圧のこと)は細胞膜という半透膜によって細胞内外に生じる圧であること説明しました(図1)。浸透圧はそれぞれのコンパートメントにある溶質(電解質、糖質、アミノ酸など)の数によって生じ、この圧差を解消するように水分が半透膜を通って移動します。

浸透圧の基準値は犬や猫において 290~310 mOsm/Lであると考えられており、その圧に近い輸液を等張液(=細胞外補充液)、それよりも低い輸液を低張液(=維持液)、高い輸液は高張液(高張食塩水など)といいます。ここでは、低張液について説明していきます。


図1 浸透圧は細胞膜という半透膜によって細胞内外に生じる圧である