前回は体内に投与した輸液製剤が細胞内、間質、血管内のどこに分布するのか、その基本事項の確認と細胞膜間における水の移動までを解説しました。今回は、毛細血管膜間における水の移動から、お話したいと思います。

毛細血管膜間の水の移動はStarlingの法則で決まる

血管内と間質を分け隔てているものが毛細血管膜です。水、電解質、糖は毛細血管膜を通過することができますが、分子量の大きな蛋白質(アルブミンなど)は通過することができません。一方で、間質と血管内の電解質組成(張度)はほとんど同じになります。したがって、毛細血管膜間の水の移動には、張度ではなく膠質浸透圧と静水圧が関与します。静水圧は、血管内から間質へ水を移動させる力、膠質浸透圧は間質から血管内に水を引き込む力と理解してください。この毛細血管膜における水の移動を表したものがStarlingの法則です。

Starlingの法則は難しく考えず図で理解しましょう(図1)。動脈側の毛細血管では「静水圧>膠質浸透圧」となるため、間質側へ水が移動します。一方、静脈側の毛細血管では「静水圧<膠質浸透圧」となるため、間質から血管内へ移動します。要するに、血管内静水圧が高いときには血管内→間質へ水が移動し、血管内膠質浸透圧が高いときには間質→血管内へ水が引き込まれるということになります。


図1 Starlingの法則