2020年11月5日に香川県三豊市の養鶏場で発生したH5N8亜型ウイルスによる高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)は、2021年2月17日現在、17県50事例に拡大しています。10月24日に北海道紋別市で採取された野鳥の糞便から同じ亜型ウイルスが検出されており、野鳥から鶏に感染が拡大したものと考えられています。この亜型ウイルスは、日本のみならず中国や韓国をはじめ世界各国の養鶏場で発生しており、短期間に世界中に拡散したようです。

また、気になるニュースとして、2021年2月21日のAFP通信によればロシアのH5N8亜型ウイルスによるHPAIの集団発生が報告されていた養鶏農場の従業員から同じ亜型ウイルスの遺伝物質が検出されたことから、感染鶏からヒトへの伝播が疑われることを報じています。ただでさえ鶏のHPAI対応に神経をすり減らしている中での報道でしたが、幸いに深刻な健康被害はなかったようです。ここで気になるのは多くの養鶏農場で飼育されているイヌやネコなどのペットへの感染です。また、日本では考えられませんが感染鶏を材料とした餌を介したペットへの感染です。このウイルスは感染鶏からペットに感染するのか、そしてペットからヒトへの感染が起こりうるのかなど疑問も多いと思います。そこで今回は文献からHPAIウイルスのペットへの感染について紹介したいと思います。

インフルエンザウイルスの種類について

まず、インフルエンザウイルスですが、A型からD型に分類され、A型はヒトを含む多くの動物に呼吸器疾患を起こし、HPAIウイルスもA型になります。A型インフルエンザウイルスは表面糖タンパク質である赤血球凝集素HAとノイラミニダーゼNAの抗原性に違いがあり、HAは18型にNAは11型があり、その組み合わせで亜型が決定します。

わが国の家畜伝染病予防法(家伝法)では、病原性の程度や変異の可能性によって、HPAI、低病原性鳥インフルエンザ及び鳥インフルエンザの三種類に分類され規制されています。HPAIの診断はOIEの診断基準に準じて判定されています。具体的には、鶏に対する病原性と、H5またはH7亜型ウイルスで、特定部位のアミノ酸配列が既知のものと類似していることです。家伝法の対象動物は、鶏、あひる、うずら、きじ、だちょう、ほろほろ鳥、七面鳥とされています。