イヌやネコの健康診断や病気の検査において、しばしば血液や尿などのサンプルをもとに臨床検査を行うことがあると思われます。また、現在、世界中で蔓延している新型コロナウイルス感染症(COVID-19)においても、PCR検査であるとか抗原検査や抗体検査などが盛んに行われています。

それらの検査結果で陽性であるとか、陰性であるとかを知り、検査を受けた方は一喜一憂されているかと思われます。しかし、検査で「陽性や陰性の意味」を本当に理解しているでしょうか?病気の診断において、検査結果が陽性であれば病気で、陰性であれば健康と単純に断定できるのでしょうか?今回は主にCOVID-19を例にしながら「検査での陽性や陰性の意味」を考えてみたいと思います。

完全な検査法は存在せず、他の方法より有用性があれば標準法として設定される

COVID-19の診断にPCR検査が汎用されていることはご承知の通りです。正確にはリアルタイムRT-PCR法と呼ばれるもので、COVID-19の原因ウイルス(SARS-CoV-2)の特定の遺伝子配列を増幅して検出する方法になります。リアルタイムとは通常のPCR法よりも検出感度が高い、つまり少ないウイルス量でも検出できる方法になります。またRTとはSARS-CoV-2がRNA型ウイルスのため、検査を行うためにRNAからDNAに転写する過程をいいます。

どんな病気でも同じですが診断に使われる検査は、実際に病気(感染)の人を完全に診断でき、感染していない人には反応しないことが理想です。しかし、実際にはこのような完全な検査法は存在しないと考えた方が良いと思います。当然、企業は理想的な方法の開発を目指すのですが、そのレベルに達せなくても、他の方法より有用性があれば標準法として設定されるのです。標準法は科学の進歩によって、より正確に診断できるように改良していくのが常で、現時点での最善の方法といえそうです。したがって、検査を受ける人も検査結果の意味を正しく理解することが重要と考えられます。