新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的な蔓延により、個人的な行動変容に頼る予防策では限界が見えてきました。

COVID-19のワクチン開発が世界的に急速に進められており、連日、その進捗状況がニュースで報道されています。すでに承認されたCOVID-19ワクチンの、人に対する接種がいくつかの国で開始されており、その有効性と安全性に世界から注目が集まっています。そのような状況の中、感染状況が逼迫していることもあり、短期間で製造が可能な、従来とは全く異なる新規性の高いタイプのワクチン開発が盛んに行われています。

そこで今回はCOVID-19ワクチンの理解を深めていただくために、ワクチンの種類とその特徴について解説したいと思います。

人類が最初に手にしたワクチンは…

まずはワクチンの歴史からです。古くから感染症を防ぐにはワクチンによる予防が最も有効で効果的な手段とされ、獣医学が大きな役割を果たしてきました。

ご承知のように人類が最初に手にしたワクチンは1798年のJennerの種痘になります。イギリス人であるJennerは、牛痘に感染した乳搾りの農夫が天然痘に感染しないことを観察し、そのことを証明するために、乳搾りの女性の腫物を8歳の少年の腕に接種しました。その後、少年は軽い悪寒・頭痛と食欲の喪失を訴えましたが、接種部位にかさぶたを残して回復しました。そして、10か月後に天然痘患者の膿胞材料を少年に接種し、発病しないことを実証したのでした。

今考えれば明らかな人体実験であり、現在では人道上の理由で実施することなど不可能な実験でした。その後、開発された種痘(天然痘ワクチン)のお陰で、1977年の患者を最後に地球上から天然痘がなくなり、1980年にWHOから根絶宣言が出されたのです。