獣医師・動物看護師が抱える感染のリスク

次に伴侶動物でのSFTSについて紹介します※1。

日本医療研究開発機構(AMED)研究事業の調査によれば、これまで猫120頭、犬7頭の発症が確認されています。致死率はネコで60~70%、イヌで29%と非常に高くなっています。

2017年4月に和歌山県でSFTS発症ネコが発見され、これが世界で最初のSFTS発症動物の確認例となりました。ネコの症状はヒトとほぼ同じで、元気・食欲消失(100%)、黄疸(95%)、発熱(78%)、嘔吐(61%)が認められ、 下痢は7%にのみ認められました。ネコでは黄疸が多いこと、下痢が少ないことがヒトと異なる臨床症状と考えられています。血液学的検査ではCK/CPK上昇(100%)、血小板減少(98%)、総ビリルビン(T-Bil)上昇(95%)、 肝酵素AST/GOT上昇(91%)、白血球減少(81%)などが多くの発症ネコで観察されました。

一方、イヌですが2013年に山口県、熊本県、宮崎県の飼育イヌからSFTSVに対する抗体が検出されました。山口県の飼育イヌでは136頭中5頭(4%)に抗体が、2頭(1.5%)からSFTSV遺伝子が検出されました。過去も含めてすべてのイヌでSFTSの様な症状は認められなかったため、 SFTSVは多くのイヌで不顕性感染すると考えられていました。しかし、 2017年6月に徳島県にて世界で初めてSFTS発症イヌが発見されました。症状はヒトと同様で、元気・食欲低下、発熱、白血球減少、血小板減少、ALT/GPT上昇、消化器症状、黄疸、総ビリルビン上昇が観察されました。

ネコではSFTSの発症により小動物病院に来院すると思われますが、イヌでは発症による来院は少ないと考えられ、ワクチン接種などで来院する場合に注意が必要です。


イヌやネコからSFTSVのヒトへの最初の感染事例は、2017年に西日本の女性が衰弱した野良ネコに咬まれた後にSFTSを発症し死亡したことです。SFTSにネコが感染していたか不明ですが、血小板の減少などの症状があり、女性がダニに咬まれておらずネコから感染した可能性が高いとされています。

また、同じ2017年に下痢などが続いて体調を崩していたイヌを看病していた飼い主がSFTSを発症し、イヌもSFTSと診断されました。幸いにもその後ヒトもイヌも回復しました。イヌの看病でウイルスに汚染された唾液などを介して感染したものと考えられました。

病気のイヌやネコを取り扱う臨床獣医師は、飼い主以上にSFTSに感染する可能性が高いと思われます。事実、宮崎県において小動物臨床を行う動物病院に勤務する獣医師と動物看護師がネコから直接感染した事例※2が明らかにされましたので詳しい状況を紹介します。