■はじめに/読者の皆様へ
皆さん、初めまして。酪農学園大学の田村 豊と申します。
今年の4月まで獣医学群食品衛生学ユニットに所属し、獣医学生に対して獣医公衆衛生学の教育と、
動物と環境由来薬剤耐性菌の分子疫学に関する研究に従事していました。
今回、縁あってEDUWARD MEDIAにおいて獣医学関連の最新の話題について
「今週のヘッドライン 獣医学の今を読み解く」と題して
シリーズでコラムを書かせていただくことになりました。
大学の講義の最初に「今週のヘッドライン」として話していた、獣医学関連の話題を継承するものです。

毎週のように獣医学関連のニュースが引きも切らずに国内外から公表されています。
今回は読者が小動物医療関連の獣医師や動物看護師が中心ということで、
小動物医療関連の話題を中心に解説していきたいと思います。

また、獣医学全般の話題でも皆さんに知っておいて欲しいものも取り上げます。
世界で刻々と動いている獣医学の今を肌で感じていただければ幸いです。
是非とも興味を持っていただき、継続してお読みいただけることを期待しています。

酪農学園大学名誉教授 田村 豊

2020年の犬猫飼育実態調査成績

小動物医療に携わっている方にとって、犬猫の飼育状況に関する情報は関心事だと思われます。本来なら牛や豚などの生産動物のように、国が正確な統計を取り公表すべきと思われますが、残念ながらまだ統計はありません。ただし、狂犬病予防法に基づく登録犬数については、毎年発行される家畜衛生統計で示されています。この登録犬数はあくまで狂犬病ワクチンを接種した犬の数であり、全体像を必ずしも示しておらず、猫については対象外となっています。因みに公表されている2006年の登録犬数は6,635,909頭となっています。

一方、民間団体である一般社団法人ペットフード協会は、2004年から全国の犬猫飼育実態調査を実施し、推定値ではありますが日本の全体像を公表しています。2006年の犬の飼育頭数は12,089,000頭とされており、登録犬数に比べて相当多い数字となっています。両者に一長一短があり、目的により使い分けが必要ですが、今回は2020年12月23日に公表された犬猫飼育実態調査成績(2020年)の概要をお知らせしたいと思います。