各分野のトップランナーが、どのように学んできたのか。
そして、どのように学びを臨床に活かしているのか。

「明日の獣医療を創る」は、すべての臨床獣医師に捧げるインタビューシリーズ。
第7回は藤原 亜紀先生です。

※本インタビュー記事は、過去に取材した記事を再編集したものです。

研究と臨床を両立させ、最終的に症例に還元したい

― 藤原先生の講演を拝聴しますと、大学での研究はもちろんですが、臨床にも非常に力をいれていらっしゃる印象を受けます。どのような想いからこの姿勢を貫き続けているのでしょうか?

藤原先生:私は学生時代から2匹の猫を飼っています。辛いときにもずっと寄り添ってくれた愛猫で、「このコたちを自分で診てあげられないのは絶対に嫌だ」と思っていることは、臨床の現場に立ち続けている大きな理由です。

また、大学院での諸先輩方との出会いも影響しています。当時の指導医でいらっしゃる辻本 元先生も大野耕一先生も、多くの論文を執筆しているのに、臨床の第一線でご活躍され続けています。また先輩や同級生もとても優秀でエネルギッシュでしたし、臨床に研究にと努力を惜しまない先生ばかりで、今も刺激をいただいています。私は本当に人脈・環境に恵まれていたと思います。

このような尊敬する先生方との出会いから、私も研究と臨床を両立させ、最終的には自身の研究成果を症例へと還元したいという想いが強くなりました。診療だけでなく学会発表や論文執筆によって患者さんや紹介病院さんへ還元することは、大学に籍を置く臨床教員としての責務だと思っています。臨床と研究の両立は難しいですが、自分も猫の一飼い主としての気持ちを忘れないように、バランスを大事にしたいです。

― ご専門とされているX線検査による画像診断、また呼吸器診療の研究・臨床は、どのようにご研鑽されてきたのでしょうか?

藤原先生:まずX線検査についてです。大学の研究室で藤田道郎先生から厳しい指導(笑)を受けたので、読影には少しだけ自信がありました。でも、「ここに異変がある」といった画像所見を述べる程度のレベルでしたので、すぐに診療へと活かせたわけではありません。「ある分野のエキスパートになるためには、ジェネラリストでなければならない」という教えの下、大学院時代は研修医として内科系の色々な科目を診て、臨床のゼミには積極的に参加し、多くの内科疾患の知識を勉強しました。すると、次第にX線画像と臨床徴候や他の検査結果が結びつきはじめ、「これは○○だ!」と疾患がわかるようになってきました。これがX線検査の面白さを感じた瞬間で、画像診断を行う醍醐味だと思っています。


呼吸器診療については、大学院を経て、教員として戻ってきた日獣大が出発点となります。 正直、初めは苦手意識があった分野でしたが、スペシャリストである藤田先生の診療を2年ほど張り付くように(笑)みているうちに、藤田先生と診断が一致するようになってきたことに面白さを感じ、さらにのめり込んでいったという経緯です。