DVMsでやりたいこと、DVMsだからこそできること

―現在所属しているDVMsでやりたいこと、目標にしていることはありますか。
 短期的な目標は、DVMsを二次診療センターとしてさらに機能させるため、チーム獣医療を確立させることです。そして長期的には、症例を集めてしっかりしたエビデンスを作ることです。
 以前所属していた東大の動物医療センターは、チーム獣医療が確立されていると東大を出てみて感じました。そこでの経験を活かし、それぞれの分野の専門家・スタッフが動物の為に集結し、優先順位を定めながら治療や看護を行って行きたいと考えています。そしてこのチーム獣医療の輪には、紹介元の一次診療病院も加わっているという形を模索しています。

 長期目標については、現在、獣医師が日常的に使っている薬剤や治療法の半分以上は、きちんとしたエビデンスに基づいていると言い難い状況です。だから、きちんとデータを取って、効果のある治療法とない治療法をはっきりさせたいと考えています。
 とはいえ、個々の症例で十分なデータを取り、それを蓄積するには時間がかかります。今はまだその基礎固めの段階ですが、多数の症例を紹介いただけるDVMsの特性を活かし大学のラボと連携した研究ができないか、こちらもじっくり模索しています。


―大学病院での診療、そしてDVMsでの診療、同じ二次診療施設で診療の違いを感じることはありますか?
 来院する症例の集団が違うことから、特に診断をするタイミングに大きな違いがあると感じています。傾向として、大学病院に来る動物は病気が悪化していることが多いので、診断自体はしやすい。一方、DVMsへの来院は大学病院の来院よりも早い段階であることが多いので、しかるべきタイミングで、かつ詳しい適切な検査をしないと正しい診断にたどり着けないと感じています。「元気だけど検査の数値がよくない」といった動物もよく来るDVMsでは、ちょっとした徴候をも見逃さず、先を見通す力がさらに求められていると思っています。