ココに注目①:国家資格取得後の役割と責任

左向先生は、愛玩動物看護師として国家資格化されることで、「獣医療従事者としての責任レベルが上がる」ことを強調しました。

「国家資格の有資格者になることで、動物に対する看護の質の向上、チーム獣医療の調整役など、愛玩動物看護師が獣医療の発展に貢献することが期待されます。一方、今まで以上に責任が求められる業務(採血や投薬の一部、マイクロチップの挿入など)1)を任せられることで、何か問題が発生した際、訴訟などに発展するケースが起こる可能性も出てきます」(左向先生)。

より質の高い動物看護技術・サービスの提供、そして万一の訴訟時に愛玩動物看護師が自らの身を守るためには、何が求められるのでしょうか? 

この問題の解として、左向先生は「愛玩動物看護師の職能団体の組織化と、その充実化を早急に進めるべきである」と提言しました。

また、愛玩動物看護師の業務範囲と責任範囲の定義を明確にすることの重要性についても言及しました。

獣医師側がこれらの現時点での定義を明確にすることで、現行の愛玩動物看護師法では愛玩動物看護師の業務として認められていないものの、将来的には獣医師の責任・指示のもとで愛玩動物看護師が「診療の補助」として業務にあたれるよう、法律や教育カリキュラムの整備を進めていくのが望ましい業務が明らかになるためです。

その一例として左向先生が挙げたのは、現行の愛玩動物看護師法では愛玩動物看護師が行ってはいけないとされている「X線検査の撮影等における放射線照射」です。

将来的な可能性として、愛玩動物看護師が獣医師の指示の下でX線などの検査業務を行えるようになれば、検査中に獣医師が他の業務にあたることができるようになるなど、スタッフの人数が少ない病院では特に効率的に仕事を回しやすくなることなどを説明しました。


図1:愛玩動物看護師の業務内容¹⁾