認定動物看護師試験対策の学習は、愛玩動物看護師の国家試験に繋がるのか?

小沼先生:次は、愛玩動物看護師国家試験対策の学習方法について聞かせてください。
アンケートによると、教科書を章ごとになどまとめて発表する「抄読会」や「過去問・市販の問題集・独自に作成した問題を使った学習」を大学や専門学校では行っていますが「抄読会」を行っている学校は1件だけなのに対して、「過去問・市販の問題集・独自に作成した問題を使った学習」はほぼすべての学校で行っています。これらの有効性についてどう思われますか?

鈴木先生:愛玩動物看護師国家試験は、カリキュラムも出題範囲もまだ決まっていません。今回が初めてなので「認定試験の過去問や問題集が有効かどうか」は、一概には今の時点では申し上げにくいところです。ただ、今の試験のカリキュラムと国家試験のカリキュラムがそれほど変わらないという前提ですと、過去問による勉強は有効ではないかと思います。

小沼先生:学校では国家資格化に向かう中で、ここ2,3年で認定動物看護師の試験の難易度が上がっているという現場の意見があります。そう考えると、今の認定動物看護師試験対策も国家試験に向けて無駄ではないな、と感じています。
アンケートの中でも「認定動物看護師試験は、愛玩動物看護師の国家試験対策に繋がっていると思うか」という問いに対しては、ほぼ全員が「そう思う」という結果でした。学校側は国家資格対策とまったく別物とは考えずに、現行のものでひとまず、進めても良いだろう、ということですね。

鈴木先生:ただし、愛玩動物看護師国家試験は「犬猫が対象で、その他政令指定で小鳥を入れるか入れないかを議論中」という段階です(2020年10月時点)。そうなりますと、出題範囲に大動物(産業動物)や実験動物は含まれない可能性があるのでそのあたりは学校側も配慮が必要になってきますね。

小沼先生:ところで、アンケートでは「過去問題や模擬試験の繰り返しは、問題そのものを暗記する学生がいて困る」という意見がありました。こちらの対策についてはどうお考えでしょうか。

鈴木先生:暗記することすべてを否定する必要はありません。選択肢が単語で並んでいて、それらに答える「Ⅰ型問題(※1)」、単純想起型の問題についてはすべて暗記していただいてもいいぐらいです。しかし、そうではないレベルの高い応用問題「Ⅱ型・Ⅲ型の問題(※2)」については思考過程を問われる問題なので、それらについて暗記してもらうのは困りものです。そこは先生方の方でしっかり見抜いていただきたいところです。
受験生に暗記して欲しくない問題については、選択肢の順番を変えるだけで全然違う問題にも見えるので有効です。また、それを改変して並び替えるのは先生方にとって大変な作業になるかもしれませんが、ぜひ行っていただきたいと思います。

小沼先生:我々学校側も単純想起型の「Ⅰ型の問題」と応用問題の「Ⅱ型・Ⅲ型の問題」をしっかり区別して理解しなければならない、ということですね。なお、本を読んでまとめるという「抄読会」についてご意見はありますか?採用している学校も少ないですし、海外の論文を見ても「抄読会」の有効性が低かったというデータがあります。

鈴木先生:教科書の内容をまとめる、ということ自体は間違ってはないと思います。しかし、それを抄読会という形式で行いますと、主にインプットの作業が主体になりがちです。そこで学生には「その知識をアウトプットすることを意識しなさい」とアドバイスをすると、良い効果に繋がるのではないでしょうか。
例えば…内容をまとめるときに、教科書の言葉をそのまま使ってしまう学生がいます。教科書に「類似している」という文章があったから、そのまま「類似している」と記載したり。そこは「似ている」と代えて自分の言葉でアウトプットしていかなければいけません。「そのまま写しました」という作業では、学習効果は薄いのではないでしょうか。まとめたことで満足するのではなく、どう自分の言葉にしてアウトプットするか、ということが大事ですね。

(後編に続く)

※1:教育目標別の評価領域分類のⅠ型問題のこと。単純な知識の早期で解答できる問題を意味する。
※2:教育目標別の評価領域分類のⅡ型問題とは、設問文で与えられた情報を理解・解釈して、その結果に基づいて解答する問題のこと。Ⅲ型問題とは、理解している知識を応用して具体的な問題解決を求める問題のこと。Ⅱ型は理解・解釈の思考過程が1回のみ、Ⅲ型は理解・解釈の思考過程を2回行わないと解答できない。