2020年10月、日本動物看護学会主催の学術大会「日本動物看護学会第29回大会」が、
WEB大会形式で開催されました。
千葉科学大学を主管団体とし、大会長を務めたのは同大学教授の小沼 守先生。
WEBページへの入場者数681名、閲覧回数1079回と、盛況のうちに終了致しました。
同大会では、現場で働く動物看護師の方々や動物看護系大学や専門学校の教員に向けて
「認定動物看護師の試験対策からその先を考える」と題したオンラインセミナーを開催。
講師には獣医師国家試験対策研究会 代表の鈴木 勝先生を迎え、
座長は大会長の小沼 守先生が務め、お二人による対談が行われました。
現在、認定動物看護師試験から愛玩動物看護師国家試験へ移行する過渡期であることを
踏まえた内容となっております。
アンケートで得られた各大学や専門学校での取り組みをご紹介後、
認定動物看護師試験対策のヒント、そして“その先”にある国家資格試験対策についてご教示いただきました。
座長:小沼 守先生(千葉科学大学/ 日本動物看護学会第29回大会長)
講師:鈴木 勝先生(獣医師国家試験対策研究会 代表)
協賛:千寿製薬株式会社

講師が采配を振るうのではなく、受験生自身が主体的に取り組む学習を
小沼先生:今回の対談企画は「現行の認定動物看護師の試験対策から、その先、これからの国家試験に向けた対策を考えていく」ということをテーマにしています。現在、認定動物看護師試験から愛玩動物看護師国家試験へ移行している時期。学校の先生方や学生だけでなく、現場で働いている動物看護師の方にとっても、不安は大きいことでしょう。今回の企画を通して、皆さまの不安を少しでも払拭できたらと思います。今回は獣医師国家試験対策予備校の運営を手がける国家試験対策研究会の代表である鈴木 勝先生を講師にお招きしています。どうぞよろしくお願いします。
鈴木先生:はい。こちらこそ、どうぞよろしくお願いします。
小沼先生:今回の対談にあたり、2つの専門学校と3つの大学から認定動物看護師試験と国家試験対策についてのアンケートを取らせていただきました。その結果を随時交えながらお話をお伺いできればと思います。早速ですが「講座の形式はどのようなものが良いか」についてから、お聞かせいただけますでしょうか。
鈴木先生:まずは前提として全員合格をめざす場合、先生が一方的に教えるような「レクチャー方式」ではモチベーションが続かない学生が一部出てきてしまう、と考えています。大人数では先生方の目が行き届かないケースもありますよね。
そこで私がお勧めするのは「受験者を細かく分けて、5~6名のチームで勉強会を行う」という形式です。
学生が学生に対し“自分の言葉”で教えることで、受験者が受け身にならずに自分が教える立場に立つことでモチベーションが上がる。インプットだけでなく、アウトプットも行える学習方法として大変有効だと思います。モチベーションが落ちている学生、質問がうまくできない学生であっても少人数であれば質問しやすいですよね。
小沼先生:確かにアンケートでも、グループごとに実習している大学で「なぜ間違っているかを学生自身に解説をさせる」ということについて手ごたえを感じているという意見があります。グループを作る場合の方針についてはいかがお考えですか?年齢や性別など…どのような区分で分けるのが良いのでしょうか?
鈴木先生:男女比は多少意識したほうが良いかと思います。男性1人、女性1人というのは避けた方が良いかもしれませんね。しかし、それ以外については考えなくても良いと思います。
小沼先生:学力差についても考えなくても良いのですか?教育現場としては、どうしても学力レベルの差というものは考えてしまいがちです。
鈴木先生:成績上位者と下位者は混ざっても良いかと思います。先生方は、上位者が下位者への説明の際に「説明することが自分の勉強に繋がる」ということをしっかり認識させることが大事です。そして下位者の人は上位者についていけばしっかり成績が上がる、ということでお互いがポジションの意味を理解して参加すれば問題ないかと思います。また、グループを組むと自然と「仲の良いグループ」と「仲の良くないグループ」が出てきますが、小沼先生はどちらのグループが成績が上がると思いますか?
小沼先生:やはり一般的には積極的に発言もできる、助け合えるという点で、仲の良いグループの方がうまくいくのではないですか。
鈴木先生:実は仲の良いグループも悪いグループも、成績はそれほど変わらない傾向があります。なぜか考えてみたのですが、仲の悪いグループだと無駄話をしないという利点があるんですね。また、嫌いな人の発言の方が印象や記憶に残っているものなんです。
小沼先生:なるほど。仲が良くないグループですと「相手の前で恥をかきたくない、負けたくない」という気持ちが出て、逆にやる気が上がるということなんでしょうね。
鈴木先生:はい、グループを作る際は、あまり講師が采配を振るうようなことをしなくても良いかと思います。