「集中治療」「救急医療」は日進月歩の分野だからこそ、基礎を学び「はじめの一歩」を踏み出してほしい
この書籍を発刊してから、ICU管理に普段から取り組んでいる病院から
「今救急処置で行っている手技の確認ができた」
「自分たちのやっている手技が正しかったということを再確認することができた」
というありがたい声をいただいています。
ただ冒頭でも話した通り、本書は救急医療・集中治療が必要な患者が来たときに、獣医師・動物看護師がスムーズに連携して、命を救うために何をするべきかについて解説しているものです。
「うちの病院は、あまり救急医療や集中治療はやってないから必要ないかな」と思わずに、チーム医療という観点から興味を持っていただけたらありがたいな、と思います。
第1章では「ICUとは?」「ICUで治療・看護が必要なケースとは?」といったICU管理の前提となる基礎知識を解説しています。
第2章では2012年に発表された「リカバーガイドライン」について話しております。「今、何を優先してどのように処置を行うべきか」を学んでいただければ幸いです。
第3章では、患者の管理について細かく書きました。みなさまが管理するさまざまな動物の状態を詳しく診ていくために、とても役立つのではないか?と思っています。栄養管理・感染症の管理についても説明しているので、あまり救急医療・集中治療の患者来院がない病院からも「日常の診療においても非常に役に立つ情報だ!」というお言葉を頂いております。
第4章では、具体的な疾病についてまとめました。第4章では特に、今回の書籍化において大幅に加筆を加えました。各疾患、具体的な病気の管理に関しても「日常の診療において遭遇するものに活かせる内容になっている」というお声をいただき、非常にありがたく感じています。
「集中治療」「救急医療」という分野は、ヒト医療では当然なことなのですが、非常に進歩が激しく、そしてその内容そのものが大きく変わっていく分野です。
本書はこの形が完成形ではないと、書籍の完成を迎えた今でも思っております。
目の前で苦しむ動物たちに対して治療・看護を行う上で、何年かかけてでも、より成長できるように――。
本書をICU管理の「最初の一歩」の一冊として手に取っていただき、動物のため、飼い主さんのためにお役立ていただければ幸いです。
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出版:エデュワードプレス
仕様:A4判/208頁/オールカラー
発行年月日:2020年7月1日
本体価格 9,900円(税込)

佐野忠士 Tadashi Sano
- 酪農学園大学 獣医学群 獣医保健看護学類、附属動物医療センター麻酔科/集中治療科