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【グラフ5】差別にあった人の推移


ここ1年間の「障害に対する人々の理解や考え方の変化」を尋ねたところ、「変化はなかった」148人(62%)が最多でした(グラフ6)。回答者からは、「良い変化もあるが、受け入れ拒否もあるので変化はない」「周囲の人は良く理解していて、変化はない」「理解が無いまま変化はない」などがありました。
 一方「良い方へ変化した」と答えた80人(34%)からは、「電車やバス、買い物中など周囲からの声かけが増えた」「道に迷ったときに声をかけられることが複数回あった」「視覚障害者への声かけ方法を知ってくれている」などがありました。

【グラフ6】障害に対する人々の理解に変化があったか


具体的に「社会参加の障壁だと感じること」を尋ねたところ、様々な意見があがり、社会のあらゆる場面で壁が存在していることが分かりました。以下に抜粋します。

「タッチパネルが増え、不便に感じる」
「クレジットカードの決済端末がタッチパネルだと、店員に暗証番号を伝えるしかない」
「マイナンバーカード読み取り機のタッチパネル操作ができない」
「色々な場面でアプリの利用を求められるが、視覚障害者には使いづらい」
「歩道がない。車との距離が近く、怖い思いをする」
「通勤中、歩道や点字ブロック上に駐車されている車があり歩きづらい」
「水がセルフサービスの飲食店が増えている。店員にお願いしたところ『私たちがすることではないので』と断られた」
「盲導犬だと説明し入店できたが、店員に『周りに迷惑をかけないように』と言われた」
「まだまだ受け入れ拒否があり、新しい所へ行くには勇気がいる。もっと気軽に出かけたい」
「賃貸住宅だと盲導犬を理由に断られる。法律を説明しても理解を得られないことも」
「有料のセミナーに参加した際、視覚障害への配慮は出来ないと言われ、内容は2/3程度しか理解できなかった。ヘルパー同席も認められない場合がある」
「就労面で、視覚障害者、盲導犬というだけで断られる」
「障害者への対応が分からない人が多い。聞いて貰えれば答えるのに、聞かれない」
「商品説明や会計時のおつりの受け渡しを、自分ではなく同行しているヘルパーにされる」
「通りすがりに、犬が可哀想だと言われる。心理的障壁が一番ある」

● 考察2
 社会参加の障壁について、コメントで目立ったのは「タッチパネル画面の操作ができない」とする内容で、80人(34%)の回答がありました。ICT技術の進化が加速する一方で、視覚障害者への配慮が追いつかず、情報・文化面での障壁が急激に増えていることが分かりました。
 他には、「セミナー参加時に配慮が無い」などの制度的な障壁、「路上駐車があって歩きにくい」などの物理的障壁がありました。更には「『盲導犬がかわいそう』と言われ悲しい気持ちになった」「自分ではなく同行ヘルパーに話しかけられた」といった心理的障壁も含まれていました。
 こうした日常に潜む障壁を取り除くためには、事業者による合理的配慮の提供が不可欠です。事業者の理解に加え「視覚障害者への対応は難しそう」と、実際に対応する人が消極的にならないよう、合理的配慮の具体的事例を示すなど、不安を軽減していく取り組みも必要であると考えます。社会の一人ひとりの気づきによって、心理的障壁の多くが解消されると考えられます。

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【社会理解へ向けた活動】
 日本盲導犬協会では、誰もが自分らしく暮らせる社会の実現には、法律や合理的配慮等の周知が急務であると考え、各種セミナーにおいて合理的配慮の具体事例を示す他、YouTube上でも盲導犬や視覚障害の基礎知識を紹介する様々な動画を公開しています。この調査結果を受けて、こうした情報発信をさらに強化していきます。

《日本盲導犬協会公式YouTubeチャンネル》
動画『【入門】盲導犬ユーザーが施設に来たらどうする?~セミナー事前学習動画~』
盲導犬や視覚障害の基礎知識、法律や障害のとらえ方、サポート方法などを事業者向けにわかりやすくまとめています。
https://youtu.be/wj3P-JhyzF4

《Webサイト》
盲導犬子ども向け動画サイト『にちもうジュニア』


子供たちが盲導犬や視覚障害について楽しく学べる動画や、教育関係者の学習指導に役立つ動画を公開しています。
https://www.moudouken.net/nichimou-jr/

《その他》
※「盲導犬受け入れ拒否対応事例集」をホームページでも公開しています。https://www.moudouken.net/special/case-study/



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