■はじめに/読者の皆様へ
皆さん、初めまして。酪農学園大学の田村 豊と申します。
今年の33月まで獣医学群食品衛生学ユニットに所属し、獣医学生に対して獣医公衆衛生学の教育と、
動物と環境由来薬剤耐性菌の分子疫学に関する研究に従事していました。
今回、縁あってEDUWARD MEDIAにおいて獣医学関連の最新の話題について
「今週のヘッドライン 獣医学の今を読み解く」と題して
シリーズでコラムを書かせていただくことになりました。
大学の講義の最初に「今週のヘッドライン」として話していた、獣医学関連の話題を継承するものです。

毎週のように獣医学関連のニュースが引きも切らずに国内外から公表されています。
今回は読者が小動物医療関連の獣医師や動物看護師が中心ということで、
小動物医療関連の話題を中心に解説していきたいと思います。

また、獣医学全般の話題でも皆さんに知っておいて欲しいものも取り上げます。
世界で刻々と動いている獣医学の今を肌で感じていただければ幸いです。
是非とも興味を持っていただき、継続してお読みいただけることを期待しています。

酪農学園大学名誉教授 田村 豊

はじめに

風邪の原因にはウイルス、細菌、クラミジアやマイコプラズマなどが知られていますが、成人の場合、その大部分はウイルスによるものと言われています。中でも毎年発生が報告されているのがインフルエンザウイルスによる感染症です。風邪の流行する冬になるとテレビや新聞などのマスメディアでは、予防対策として人混みへの外出を避けるとともに、外出から帰宅したら「うがい」と「手洗い」の励行を呼び掛けています。さらに、現在流行している新型コロナウイルス感染症(COVID-19)でもうがいの重要性を指摘する声もありました。しかし、風邪やCOVID-19などのウイルス感染症の予防対策として、「うがい」の意義には様々な意見があるようです。そこで今回はこの「うがい」の感染症に対する予防効果について考えたいと思います。