明けましておめでとうございます!
今回は、前回に引き続き、蔵象論の中から「脾」「肺」「腎」をご説明していきます!
前回出てきた「肝」「心」は「将軍」や「君主」だったりと、重要そうなイメージがありましたね。これから出てくる臓も、体内でなくてはならない働きをしています。

消化・吸収機能の中心となる「脾」

脾臓と聞くと、一般的には古くなった赤血球の破壊や血液の貯蔵、免疫系の働きなどが思い浮かびますね。中医学の「脾」は、飲食物から取り出される「水穀の精微」から「後天の気」(第5回参照)をつくる大切な器官です。裏表の関係にある「胃」の働きの補助も行います。


脾の主な作用は以下の通りです

① 運化:飲食物から得られるからだにとって必要な栄養素「水穀の精微」を取り込む。また、水分の吸収、運搬も行う。
② 昇清(しょうせい):取り込んだ「水穀の精微」を上焦(頭や胸)まで運び、全身に行き渡らせる。また、中焦(腹腔内の臓器)が一定の位置に留まるようにする。
③ 統血:血が血脈外へ漏れ出ないようにする。

例えば、①の「運化」作用の低下は消化不良や食欲の低下を引き起こしますし、②の「昇清」作用の低下は胃下垂や膣脱、子宮脱、慢性下痢などを引き起こします。③の「統血」作用の低下は血便や血尿、月経過多などに繋がります。どれも臨床現場ではよく目にする症状だと思いますが、消化器系、泌尿生殖器系と広範囲に「脾」が関係していると考えると新鮮ではないでしょうか。


また、上の図から「脾」と同じグループには「口唇」「肌肉(皮下織)」などがありますが、これは脾の状態が口唇や脂肪組織などに表れることを意味します。脾の感情は「思」ですが、長く思い煩いをしていると、脾を傷めます。適度な「甘」味は脾を養いますが、取りすぎは病のもととなりますね。