これからの獣医療はどうなっていくのか。
そして、獣医師は今後どのように学んでいくべきか。

インタビューシリーズ「獣医療のミライ」では、
各分野で活躍する新進気鋭のスペシャリストたちに、
研究や臨床から得た経験をもとにした
未来へのビジョンや見解を語っていただきます。

第11回は米国獣医内科学専門医(小動物内科) 、修士(毒性学、臨床科学)、博士(獣医学)の福島健次郎先生です。

鹿児大から東大へ、獣医内科学との出会い

―まず、先生が獣医師になろうと思われたきっかけから、お聞かせください。
 母に聞くところ、小学校 3 年生あたりの文集には、「将来は獣医さんになりたい」と書いていたようです。でも、私自身はあまり覚えていないんですよ(笑)。思い出せるのは、小学校低学年の頃、通学路で捨て犬を拾ってきた時のこと。父をなんとか説得して、譲渡
先が見つかるまで預かれるようになったものの、肝心の子犬の世話は母と姉に任せきりで……。母と姉に「責任感がない」と厳しく叱られてしまったのをよく覚えています。


―高校卒業後は鹿児島大学の農学部獣医学科に進まれました。大学ではどの研究室に?
 内科学研究室で学び、分子細胞生物学的なアプローチを用いた腫瘍の研究に取り組んでいました。日本獣医内科学アカデミーなどで研究発表の機会もいただき、その時に出会った東京大学の研修医の先生の勧めや、より幅広い視点で臨床をみたいといの研修医の先生の勧めや、より幅広い視点で臨床をみたいという考えもあって、卒業後は東京大学の研修医の道を選ぶことにしたんです。

臨床教員として大学に残ってからは、肝胆膵や免疫介在性疾患の臨床研究、教育が中心に。大野耕一先生、中島 亘先生という優秀な先生方にご指導いただき、研究者、教育者として充実した日々を過ごすことができました。